日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年11月11日話し方上達につながる習慣とは?



★言葉にすることはとても大切


私は企業から依頼を受けて社内研修の講師を務めることがあります。そうした研修で私が力点を置くのは「言葉にする」ということです。単に研修で私が話したことを聞いてもらうだけではなく、聞いたことについて何を感じ、どう考えたかを言葉にしてもらうのです。言葉にすることは学びや気づきを得てもらう上でとても大切なことだと思っています。



以前、ある企業の研修を行った際に、研修自体を2回に分けて行ったことがありました。1回目の研修で話し方の基礎的なことについてお伝えし、2回目の研修はその1ヶ月後に行いました。そして、1回目の研修での学びから一つ選んで、それを日常の業務で実行した結果、どのような変化があったか、ということを2回目の研修でスピーチにしてもらいました。参加者は次のような話をしてくださいました。
・話をする前に話の方向性(主題)を言うことにしたら、以前よりも話がスムーズにできました
・ゆっくりと間を取って話すと、相手に私の話を理解してもらいやすくなりました
・口の体操を毎日したところ、滑舌が良くなり聞き返されることが少なくなりました
1回目の研修を受けただけでは研修の効果は限定的です。しかし、このようにその学びを日常で実践してその成果を言葉にすることで学びは確実に深まります。また、「知っている」という段階から「できている」という段階に昇華することもできます。言葉にすることで自分の学びを確認することができるのです。



★人は経験から学ぶ


ところで、私が「言葉にする」ことにこだわるのは他にも理由があります。それは、言葉にすることで人生をより濃いものにすることができると思っているからです。一般に、子供から大人になるに従って時間を短く感じるようになります。それは一つひとつの経験を子供の時ほど味わっていないから=記憶に留めていないから、という説があります。私はこの説に説得力を感じていますが、ではなぜせっかくの経験を記憶に留めないのでしょうか。それは、経験を積むことで慣れが生じ、新たに経験することに新鮮さを感じないからです。「ああ、これは以前に経験したようなことだな」と思うと、その時点で記憶には留めなくなるのです。実に勿体ないことです。人は様々な経験から学びを得ますが、その経験をいかに味わうかで学びの深さなどは違ってきます。できるだけ一つひとつの経験を深い学びの糧にしたいものです。



★経験したことを言葉にする


では、過去に経験したことを深く味わって記憶に残すにはどうすればいいまてせしょうか。その一つの手段が言語化です。自分たちの子供時代を振り返ってみると、何かあるとすぐに言葉にしていたことに気付きます。
・お母さん、今日学校のテストで100点取ったよ。
・B君ってさ、いつもふざけて掃除しないんだよ。
・さっきすれ違ったおじさん、かっこいい帽子被ってたね。
子供は心が動いた出来事をすぐに言葉にします。しかし大人になるにつれて、既に経験したことが多くなり心は動かなくなり、言葉にすることもなくなります。


であれば、意識して言葉にすることで心が動き、瑞々しい感性を維持することができるのではないでしょうか。日頃の体験や見聞きしたことで自分の気持ちや考えが動いたらそれを言葉にしてください。口で言う必要はありません。頭の中でも充分に言語化できます。そうすれば新たな発見や気付きがありますし、記憶に残るので密度の濃い人生を送ることができるのです。



★言葉にすることを習慣にする


とは言え、すぐに言葉にする習慣は身につかないかも知れません。そうした場合でもそれで諦めずに意識し続けることが肝要です。一日に一回しか意識して言語化することができなかったとしてもそれはそれで進歩です。やがて一日に数回言語化したという認識ができてくれば段々と習慣化できていくはずです。経験を通じて感じたこと、考えたことを言葉にする習慣をぜひ身につけてください。



★言葉にするコツを学びませんか?


日本話し方センターのベーシックコースでは、経験をもとに2分間のスピーチで話をまとめるトレーニングaを繰り返し行います。この訓練の効果は絶大で、多くの受講生が様々な場面でわかりやすい話ができるコツを身につけていただいています。ぜひその実際を受講者の声でお確かめください!

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